上士幌町では、高齢の方や障がいのある方の移動手段として高齢者等福祉バスを運行しています。利用できる方は65歳以上の高齢者・障がいのある方(バス利用者を介護する方を含む)が対象となり運賃は無料で利用できます。
高齢者等福祉バス運行事業の一部に、ふるさと納税でお寄せいただいた寄付金を活用しています。交通手段としての利便性の確保はもちろんですが、町民が生き生きと、生涯活躍できるコミュニティづくりの一環になればと考えています。
今回は日頃高齢者福祉バスを利用している「上士幌手芸クラブ」の皆さんにお話を伺ってきました。
手軽に仲間と会えることの幸せ
上士幌町には、子どもからお年寄りまでが集う世代間交流の場所として、上士幌町生涯学習センター「わっか」という施設があります。趣味や教養、社会活動にスポーツ、少年団・クラブなどそれぞれの活動拠点として日々活用されている施設です。
たくさんあるサークルの中でも、今回お話を伺った「上士幌手芸サークル」は、約30年近く活動されている長寿サークルです。わっかを活動拠点として、毎週金曜日の午前中から夕方までメンバーが集まり手芸を楽しんでいます。
「毎週、金曜日を楽しみにしています。仲間に会って、おしゃべりしながら手芸ができるのでとっても楽しいですよ。」と、代表の早川さん。
手芸サークルの代表でもある早川さんは、一番在籍年数が長くかれこれ27年間ほど手芸サークルで活動をしているそうです。
「実は最初は陶芸をやりたかったんです(笑)でも、当時手芸サークルの知り合いから、手芸も楽しいよ、と誘われて試しにやってみたのが手芸をやるきっかけでした。それまで手芸は一度もやったことありませんでした。」と笑って当時を振り返る早川さん。
手芸サークルの活動場所であるわっかまでは、高齢者福祉バスを活用しているとのこと。
「高齢者福祉バスはとっても便利ですよ。家の近くに停留所があるので、すぐに乗れるし、わっかの前で降りられるので、雨でも雪でも気にしなくて良いのが嬉しいです。運賃がかからず無料で使えるのも助かります。」
「バスが整備される前は、徒歩や自転車で動いていましたが、歳を取るとそれも大変ですからね。
もちろん今日もバスに乗ってきましたよ。」
取材に伺ったこの日は、今年の北海道バルーンフェスティバルで販売予定の、気球型のお守りを皆さんで作っていました。
ひとりで完成させるのではなく、型を作る人、布を裁つ人、縫い合わせる人など、作業をパートでわけて作っているそうです。
数年前には、手芸サークルのみなさんで交通安全の啓発活動を実施したこともあるようで、
その時も気球型のお守り(100個)を、道行くドライバーに配布して交通安全を呼びかけていたそうです。手芸サークルでは、手芸を楽しむだけではなく、地域の方との交流、交通安全の啓蒙活動などいつもアクティブに活動されています。
町が便利になったと感じるとき
上士幌町で生まれ育ち、長くこの土地を見続けてきた早川さんに、
町が住みやすくなった点について伺ってみました。
「買い物をするにも便利になりましたし、今はまったく不自由なく暮らせていますが、振り返ってみると、道路がきれいに整備されたときに、町が住みやすくなったと感じました。」
昔は土や砂利の道しかなく、山の方に住んでいた早川さんは何かある度に町まで歩いていたそうです。道路もきれいに舗装され、バスも整備されている現状に、日々便利になったなと感じるそうです。
「昔は、子供たちが突然熱を出して慌てて病院に行くときも歩いて行くしかなかった。片道1時間ちょっとはかかっていたと思います。昔は道が悪かったから大変でしたよ。それを考えるといまはとても便利です。食べ物は自分たちで作ることもできるけど、道路や交通手段って自分たちではどうしようもできないので、道路が整備され、交通手段が充実すると、住みやすくなったな、便利になったなとつくづく思いますね。」
上士幌町では地域が一体となって、困った人がいたら町民同士でも助け合いながら、みんなで住み良い住環境を作っているのも町の特徴のひとつかもしれません。
上士幌町生涯学習センター「わっか」には、この日も、放課後の子供達や、サークル活動の主婦の方など、老若男女、実にたくさんの町民の方々が集まっていました。
手芸サークルの皆さんも「子供達がわっかに集まってくる姿を見ているだけで、なんか嬉しい気持ちになり、元気をもらえますよ。」とおっしゃっていました。
世代を超えたコミュニティとして、わっかは町民には無くてはならない存在として重宝されています。そして、そのコミュニティの充実を図るためにも、交通手段の確保は大切であり、高齢者等福祉バスもまたそのために必要不可欠な存在として町民からも愛されています。