みんふる

困難を乗り越え新規就農の道へ
他業種から酪農に挑戦!

2019.01.28

酪農業が盛かんな上士幌町では、新規就農希望者への移住支援が充実しています。新規就農希望者へのサポートが手厚く「いきなり酪農経営をするにはハードルが高い。」という移住者の不安を解消するため、酪農家のサポートをする『就農ヘルパー』や『牧場の従業員』などの支援体制も整っています。そこで今回は、4年前に上士幌町に移住し、酪農家になった谷口さんに新規就農までの経緯や想いについてお話を聞いてきました。

 

全く異業種からの転職

4年前に上士幌町に移住し、牧場での勤務を経て昨年の4月に居抜き継承として牧場経営を始めた谷口さん。酪農の仕事をする前は建築関連の仕事をしていたそうで、なぜまた酪農家の道を選んだのか、その理由を伺ってみました。

「どうして酪農の仕事を選んだの?と周囲の人からよく聞かれるのですが、実は祖父が十勝で畜産業をやっていたのでそもそも全く無縁でもなかったのです。小さい頃から祖父の作業を手伝っていた経験もあったので、高校生の時は、将来は酪農関係の仕事に就きたいなと思っていました。しかし父からは、手に職をつけた方が良い!と反対され、高校卒業後は建築関係の会社に就職しました。」

 

「酪農業に転身した一番のきっかけは、通勤時にふと目に入ってきた牛の姿を見たとき、直感的に『酪農をやりたい!』と思い、酪農家になることを決意しました。」と笑って話す谷口さん。

 

建築の仕事をやりながらも、忠類に住んでいた祖父の牛舎を訪れて作業を手伝っていたとのこと。まさか自分がその後酪農家に転身するとは、その時は夢にも思っていなかったそうです。

 

困難、そして上士幌町との出会い

酪農を始めた当初は、上士幌町ではなく地元(幕別町忠類)にある牧場の従業員として働き、そこのオーナーのもとで酪農家としてのスキルを積んだ谷口さん。

 

約8年間酪農を経験したのち、牧場オーナーからの誘いもあって、牧場を継承することを視野に入れて働いていたそうです。しかし、いざ継ぐことを決心したタイミングでオーナーが他界され、継承の話も白紙に戻ってしまいました。路頭に迷い、途方に暮れていたころ、テレビ番組で上士幌町長のインタビューを見ていた義母が、上士幌町で酪農をすることを勧めてくれました。それが上士幌町との初めての出会いだったそうです。

 

「町長のインタビューを見ていた義母から『上士幌町は酪農の体制が整っているだけでなく子育てにも良い場所ってテレビで町長が言っていたよ!』と教えられ、早速上士幌町に問い合わせてみました。」

 

農協のバイオマスプラントのセンター長が忠類まで面談に来てくれて、その後、農協の職員にも、自分のやりたいことや目指していることなどを何度も相談し、最終的に『牧場の従業員』か『酪農ヘルパー』の選択肢を提案され、牧場の従業員を選んだそうです。

 

「まずは牧場の従業員として働いて、タイミングが合えば居抜き継承として新規就農出来たら良いなと考えていました。」と谷口さん。

 

その3年後、予定通り居抜き継承として経営を譲渡され、新規就農者の夢を叶えます。

 

今後の展望

従業員として牧場に勤務するのと、自分で牧場を経営するのとでは、どのような違いがあるのでしょうか?

 

「牛は生き物なので突発的な事故や病気で死ぬ場合もあります。経営者の立場だとその責任感は従業員以上のものがあります。牧場のオーナーは当然ですが全ての責任を負いますし、とにかくに誰にも迷惑かけないように必死です。まだオーナーになって半年しか経っていませんが、経営者の立場は自分に向いているような気がします。毎日、やるべきことをすべて自分で考え、計画を立てて行動できる点は自分に向いています。もともと誰かから指示されて動くことが嫌いなので、牧場オーナーの仕事は自分の性分に合っていると思います。もちろんまだまだ勉強が必要な段階ですし、これからもっと大変なこともあるとは思いますけどね。」と笑って話す谷口さん。

 

今後の目標は「牛の数を増やし、安全で美味しい牛乳を絞ること」と谷口さんはおっしゃっていました。それも牛を購入するのではなく、人工授精の為に獣医さんと相談しながら、血統の良い牛をどんどん作っていくことが目標とのこと。

 

当初は反対していた父親も、今では夢を叶えて酪農家になった谷口さんを応援してくれているそうです。また畜産農家だった祖父も、このことを喜んでくれているようで「今は施設に入っているので難しいけれど落ち着いたら祖父を連れてきて、自分の牧場を見て欲しいですね」と笑顔で語ってくれました。

 

小さい頃から酪農に関心を持っていた谷口さん。他業種を経て酪農家になり、様々な困難を乗り越え新規就農という夢を果たした谷口さんの笑顔はとても素敵で頼もしいものでした。

 

今後も、上士幌町では新規就農を検討されている方を全力でバックアップし、夢を叶えるお手伝いができればと思っています。

 

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