みんふる

住み慣れた地域で暮らしたい
高齢者等の生活を支えるサービス

2020.02.07

上士幌町では、高齢者や障がいのある方が住み慣れた地域で安全・安心な暮らしを続けられるよう「三愛介護サービス事業」を実施しています。この「三愛介護サービス」は、2000年からスタートしている町独自のサービス。その事業費の多くは、ふるさと納税の寄附金を活用して積み立てられる「生涯活躍いきがい基金」からまかなわれており、町の保健福祉課・地域包括支援センターが運営しています。同センター長の塩澤尚弘さんにその仕組みや実施状況について伺うとともに、実際に三愛介護サービス事業の「給食サービス」を利用する方にサービス内容や感想をお聞きしました。

ふるさと納税寄附金を活用 5つのサービスを実施中

「三愛介護サービス事業」のサービス内容は5つ。要介護認定が非該当であっても、介護者であるご家族が不在の時などに短期間施設に入所できる「ショートステイ」、調理・掃除・買い物などの生活援助を行う「ホームヘルプ」、自宅での入浴が困難な方への「入浴サービス」、一般の交通機関の利用が困難な方にタクシー利用を支援する「通院サービス」、調理が難しい方へ夕食を届ける「給食サービス」があり、町が助成して安価な利用料金が設定されています。

「『ホームヘルプ』は、要介護認定を受けていろいろなサービスを使った上で利用限度額を超えているような方でも、『上乗せサービス』(介護保険の給付対象外に当たるサービスを、町が独自の財源から負担して提供するサービス)として利用できます。『入浴サービス』は、高齢者生活福祉センターの入浴設備を使うため、要介護度の重い方でも利用できるのが特徴です」と塩澤センター長。また、5つのサービスの中でニーズが高いのは「通院サービス」と「給食サービス」と言い、「いずれも要介護認定を受けている、受けていないに関わらず、一人暮らしもしくは夫婦世帯の高齢者等が対象で、一時的に腰痛等で生活に支障がある時などにもご利用いただけます」と説明してくれました。

サービス利用を希望する場合は、まず町の地域包括支援センターに相談。そこで体調やお困りごとを伺い、医療や介護の関係者で構成する「地域ケア会議」で検討した後、必要な方へ向けてサービスを実施する流れになるそうです。
では、ニーズの高い「通院サービス」と「給食サービス」は、具体的にどのようなものなのでしょうか?

「通院」と「給食」の利用が多く 給食配達時の「御用聞き」が好評

「通院サービス」は、町外の医療機関への定期受診が必要な場合に限り、タクシー料金の4分の3を助成するサービスです。町内医療機関への通院も、市街地行政区以外に居住する方と市街地居住で75歳以上の方を対象に助成しているため、安心して通院できそうです(※65歳以上の高齢者や障がいのある方は、無料の町内循環バスが利用可能)。

「給食サービス」の利用の対象となるのは、おおむね65歳以上の単身または夫婦で、心身が虚弱していたり、障害があったりして調理が困難な方です。筋力が低下してなかなか歩いて買い物に行けない、台所に長く立つのも辛くて三食作るのが大変、目が不自由で包丁を使えないといった方などが利用しています。利用者の方々からは、「目が不自由だけど、配膳がいつも同じなので、どこに何があるかわかって安心できる」「毎回同じ時間に来てくれるので助かっている」という喜びの声が寄せられています。

「給食は夕食だけですが、365日休みなく配達しています。毎日利用する方もいれば、週2、3日という方もいますが、利用者数は伸びていて、現在約80名の方が登録しています。給食の委託先が町内の食料品店でもあり、顔なじみの関係や買い物配達などを頼むこともできて喜ばれていますね」と塩澤センター長。配食だけでなく昔ながらの「声掛けや御用聞き」が、利用者の皆さんに好評のようです。

栄養を考えた夕食を 同じ時間に配達し、安否確認も

実際に「給食サービス」はどのように利用されているのでしょう? 市街地に住む利用者の今野ヨシさんを訪ねました。
93歳の今野さんは、25年前に旦那様を亡くしてから一人暮らし。足腰に痛みを抱え、台所に長くは立っていられないため、毎日夕食を宅配してもらえる「給食サービス」を使うことになったそうです。
「病気で目も見えにくくなっているから、野菜を切る時に気をつけないといけません。栄養も考えた給食が毎日夕方に届くと思うと、買い物の量も減ってありがたいですね」と今野さん。「それとね。高齢になってからお友達が来ることも減って、たまに電話するくらい。でも、給食は毎日顔見知りの人が届けてくれて、御用聞きもしてくれるから安心ですよ」と、うれしそうに話してくれました。

「給食サービス」は安否確認の役割も担っており、年に数回ほど「具合が悪いようだ」と町の保健福祉課に連絡が入るといいます。救急車を呼んで対応し、大事に至らずに済んだケースもあるといい、安心・安全を確保する意味でも一人暮らしの高齢者にとっては、頼りになるサービスといえそうです。

季節感のあるメニュー 「容器を開けるのが楽しみ」

町の福祉施設で行う体操教室や通所リハビリテーションに各週1回出かけ、イスに座りながらの運動に取り組んでいるだけあって、食欲も人一倍あるという今野さん。「町外に住む娘は毎月来て、肉ジャガとかカレーとかを作ってくれるから助かっています。でも、それ以外の日では時々おかずが足りないなあって思うこともあって。だから自分でお肉を焼いたり、野菜を煮付けたり、少し足して食べることもあるんですよ」と笑います。

給食サービスでは、高齢者に特に必要だといわれる肉・魚のたんぱく質はもちろん、町内産の素材を中心に使う野菜たっぷりの煮物、炒め物を薄味で提供し、季節ごとの行事食にも配慮しているそうです。
「年をとると煮物がいいわねえ。煮物があると元気が出るわ。夏はとうもろこし、冬はカボチャ、クリスマスには小さなケーキが付くなど、季節感があるから、毎回給食の容器を開けるのが楽しみなのよ」と今野さんの笑顔がはじけます。

自立した生活を支援 事業をサポートする寄附金に感謝

「ご飯なら炊ける」「味噌汁なら作れる」という利用者さんも多いため、夕食を配達することで病気等による心身の負担を軽減しながら、自分でできることは自分で行っていただき、自立した生活を支援しています。また、一人ひとりのご希望に沿って、何ミリ単位といったきざみ食、ミキサー食にも対応しているそうです。

1食あたりの単価は、配達と安否確認を含め750円で設定しており、利用者負担は500円(住民税非課税世帯は減免により300円)で提供しています。「この『給食サービス』を含め、三愛介護サービス事業が成り立つのは、ふるさと納税の寄附金による財源があるからこそであり、本当に感謝しています」と塩澤センター長。ふるさと納税の寄附金は、町が目指す「高齢者等に住みやすいまちづくり」の実現へ向けて、欠かせない存在となっています。

 

 

★上士幌町役場保健福祉課 地域包括支援センター
上士幌町字上士幌東3線236番地 ふれあいプラザ内
TEL 01564-2-5555
https://www.kamishihoro.jp/sp/fureaiplaza

 

★三愛介護サービス事業
https://www.kamishihoro.jp/page/00000085

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