皆さんは最近話題の「ガバメントクラウドファンディング」をご存知でしょうか?
ガバメントクラウドファンディングとは、ふるさと納税制度を活用して地方自治体が主体となって行うクラウドファンディングです。ふるさと納税の「使い道」をより具体的にプロジェクト化し、そのプロジェクトに共感した方から寄附を募る仕組みになっています。
上士幌町でも2018年4月にプロジェクト第一弾をスタートしました。
「そば処近いのにそば屋ゼロ問題!町民のそばにそば屋を!」プロジェクト。
全国からたくさんのご支援を賜りプロジェクトは目標金額を達成し、2018年12月に上士幌町で唯一のそば屋が誕生しました。そこで今回はプロジェクトで開店するそば屋の店長平野さんにこれまでの経緯についてお話しを伺ってみました。
そば屋が一軒もない町、上士幌町との出会い
上士幌町でそば屋を開店することに決めた平野さん。
平野さんと上士幌町との出会いは上士幌町の番組制作をしていた知人からの紹介だったそうです。
「番組制作を通して上士幌町を行き来していた知人から、上士幌町にはそば屋が一件もないという話を聞きました。その話を聞いて、上士幌町で唯一のそば屋になるのは面白そうだなと思いました。北海道には有名なそば粉があるし、なにより北海道の水はすごく美味しいのでそば作りに恵まれた環境だと思い、役場からお話があった起業家支援プロジェクトに参加しました。」
実際に上士幌町に訪れたときに水だけではなく空気もおいしくさらに町民の皆さんの優しさに触れて、より一層上士幌町に惹かれていったそうです。
北海道上士幌町だからできるそば作り
平野さんは、20年以上焼き鳥屋や創作和食居酒屋で料理の腕を磨いてきた料理人。創作和食居酒屋では自分でオリジナルメニューを考案したり、国内外の旬な食材を取り寄せたりするなど、こだわり抜いた料理を提供してきたようです。
「うちでは十割そばを作っていますが、そば作りは水分量がすごく重要で、細かな微調整が非常に難しいです。しかし上士幌町は湿度が低く水が冷たいため、そば作りにはベストな環境だと言えます。」と、笑って平野さん。
現在のそばを作り上げるまでに何度も試作を重ね、研究のためにチェックしたそば屋はなんと100軒以上とのこと。さらに創作和食居酒屋で培った経験を活かし一風変わったメニューも出す予定。
「カレーそばを作ったり、柚子や七味をそばに練り込んだり、アレンジを加えたメニューも用意する予定です」と平野さん。
すだちの皮を刻んだり、すりおろして入れたりと、北海道では珍しいそばを考案中とのことでした。
町民の皆さんとの繋がり
東京での生活が長く、地方に住むのは初めての平野さん。北海道には旅行で来たことがあっても、札幌などの大きな都市にしか立ち寄ったことがなく、上士幌町での生活は新鮮なことがたくさんあるそうです。その一つとして挙げていたのが『町民の皆さんのあたたかさ』でした。
町を歩いていると町民の皆さんから声をかけられることが多々あるそうで、お店がオープンする前には「そば屋はいつできるの?」「試食会をやらないの?」など気にかけてもらっていたようです。オープン前から町民の皆さんとのコミュニケーションも活発で、顔を覚えてもらうこともでき、とても嬉しかったです。」と笑顔で語る平野さん。
「上士幌町の皆さんは、優しい方ばかりなので気さくに話しかけてくれる方が多いです。東京の場合、新しくお店ができると隣近所のお店からは無愛想な対応をされることが多いですが、上士幌町では同業者の方も、町民の方も、皆さん温かく接してくれます。町全体でそば屋を盛り上げてあげたい!という思いが伝わってきて感動しました。」
町民の皆さんとのつながりは、お店のメニューにも影響を与えているようです。
「今は、地元の農家さんとやりとりをして仕入れ先を開拓しています。食材は出来るだけ上士幌町産の野菜を使いたいと思っています。最近、知り合った農家さんのごぼうがとても美味しいので、天ぷらにして提供したいと考えています。」と平野さん。
他にもそば屋を軸として様々なサービス提供を検討しているそうです。
「昼はそば屋として、夜はそば居酒屋とした展開を考えています。おつまみを提供して、町の皆さんがゆっくりお酒を飲める空間を作りたいです。町の皆さんの交流の場として活用してもらえると嬉しいですね。」と平野さん。
また、子供達にもっとそばに興味を持ってもらいたいと考え、「そば教室」の開催を検討しているそうです。また、積極的に地元の方を雇用するなど、上士幌町の方々との繋がりを大切にしていきたいと考えているようです。
自身の経験を活かしたオリジナルそばメニュー作成や、そば居酒屋の展開など平野さんの挑戦はまだまだ続きます。上士幌町ではこれからも何かに挑戦する人たちを応援していきたいと考えています。