みんふる

町の魅力を一堂に集めた
まるごと見本市2020開催

2020.03.26

2020年2月15日(土)、5回目となる『上士幌まるごと見本市2020』を東京で開催しました。首都圏を中心とした、全国のふるさと納税寄附者の方々を招待して行うイベントです。日頃のご寄附に感謝し、上士幌町の暮らしや食の魅力をぎっしりと詰め込み、さまざまに体験していただこうと町民66名がスタッフとして参加。全員が一丸となって、心からのおもてなしを行い、800名を上回る来場者を迎えることができました。今回はこのイベントの様子を、インタビューをまじえながらご紹介します。

暮らしや観光情報、物販、飲食も充実

今年度は、東京のロイヤルパークホテルにて開催。午前10時の開場とともに、大勢のお客様がいっせいにお目当てのエリアへと向かいました。「上士幌応援エリア」「観光エリア」「物販エリア」では町のPRを実施。特産品の販売のほか、ぬかびら源泉郷の「温泉ミスト体験」や熱気球のゴンドラの展示を行い、観光気分を味わっていただきました。午後からは町のキャラクター「ほろんちゃん」の着ぐるみも登場し、ご家族連れやお子さん達の大歓迎を受けて、記念撮影で盛り上がりました。
「上士幌の暮らし紹介エリア」では、牛の模型を使った乳搾り体験も好評。パネル展示等で移住を考える上で役立つ情報を発信し、暮らしの相談等も受け付けました。

メイン会場の「ふるさと納税大感謝祭(食エリア)」では、ふるさと納税の返礼品が無料で味わえる飲食のブースがずらり。十勝養蜂園のはちみつレモネード、十勝しんむら牧場のミルクジャムを添えたパン、高木牧場のアイスクリーム、アイス工房ドリームのジェラート、JA上士幌町からはよつ葉牛乳、十勝ナイタイ和牛のローストビーフと一口ハンバーグ、加藤農場の3種類のジャガイモを使うフライドポテト、十勝ハーブ牛のリブロースステーキとポトフ風に仕上げたコンビーフ。おいしそうな匂いが漂い、バラエティ豊かで華やかなメニューが会場を彩りました。お肉からデザートまで揃い、まるでコース料理のような充実した内容に、来場者の皆さんは心もお腹も満たされた様子で、会場内のあちこちで笑顔が広がります。

希少な大豆から生まれた焼酎「豆ほろり」

食エリアの中で、入り口付近にブースを構えていたのが有限会社中島商店でした。町で栽培される「秋田大豆」を原料にした焼酎「豆ほろり」の試飲を勧める店長・中島政勝(まさかつ)さんにお話を伺いました。
「町の特産品にお酒がなかったので、新たに作りたいと思ったのが始まりです。原料の『秋田大豆』は甘みがあり、もともと大手の醤油・味噌メーカーが好んで使う品種でした。栽培に手間がかかるため全国的に生産量は少ないものの、町で丹精込めて作られた希少な『秋田大豆』の自然の甘みを生かし、試行錯誤を経て生まれたのがこの焼酎です」と2016年の完成当初の苦労に思いを馳せます。

製造を引き受けた合同酒精(株)の担当者からも「面白い味に仕上がった」と評され、その味わいはお墨付き。「前回、前々回と見本市で披露してきて、来場した皆さんから『おいしい』とじかに感想を聞けて励みになっています」と中島さん。中島さんが初めて参加した見本市では「炭酸水で割ってみてもいいかも」というご意見をいただき、早速翌年から炭酸割りの提供も始めました。「アルコール度数は25度。ストレートやロックで飲むと、ほんのり豆の甘みが感じられますが、炭酸で割るとすっきりとした飲み口でまた違う表情が楽しめます」とのこと。ご夫婦で「豆ほろり」を楽しんでいた男性来場者は「飲んだ後にふわっと豆の甘みが感じられますね。初めての味だけど、ジンみたいでおいしい」と話し、味わい深い焼酎に満足そうでした。

自然素材で作る人気のワークショップ

一方、お子さん連れのご家族に人気があったのは、体験エリアのワークショップです。前回の見本市では、先輩移住者として暮らしの相談にのっていた瀬野航(わたる)さん・祥子(しょうこ)さん夫妻の姿もありました。早速今回参加した気持ちを伺ってみました。
「移住したての頃は子どもがまだ小さいから、上士幌町は子育て家族に対しての手当てが厚くていいなという思いが強かったんです。でも1年住んでみて、制度的なことよりも町の人が名前や顔を覚えてくれて、『子どもたちを見ておくから、用事を済ませてきたら』と声を掛けてくれるなど、町の雰囲気がとても良いなと感じています。この1年間、仕事や生活のつながりの中で多くの方々と関わってきました。昨年は外から来た人というイメージでしたが、今回は町の一員としてここにいること、一緒に町をアピールできることが嬉しいですね」と語る祥子さん。町との絆を深めた1年を振り返り、感慨深げです。

お二人は2018年にデザイン会社「ワンズプロダクツ」を立ち上げました。東京でアパレル関係のデザインの仕事をしていたスキルを生かし、Tシャツ、トートバッグ、ジャンパー、タオルなどアパレル系のものから取り掛かり、だんだん幅を広げ、今では2020年5月町内にオープン予定の道の駅で販売するお土産品のパッケージ等の依頼も寄せられています。

ワークショップは、「上士幌町に当たり前にあるものを生かして、改めて素材の良さを知ってもらうきっかけになれば」との思いから取り組んでいるといいます。
会場で実施する「彩り豆のチャームづくり」と「どんぐりコマづくり」のワークショップも、町で採れる色とりどりの豆や大きなどんぐりを生かした体験です。「豆も町の特産品。種類が豊富で、模様や柄が宝石みたい。本当にきれいなんですよ」とうれしそう。
住人には見慣れたものでも、東京から来た瀬野夫妻にとっては感動する逸品ばかり。移住者だからこそ感じられる素材の良さや驚きを、首都圏に住む人にもワークショップを通して伝えたいと考えています。「都会では自然の素材に触れる機会が少ないので、豆やどんぐりをじかに触って、ものづくりを楽しんでもらいたいですね」。

ワークショップには、小さなお子さん連れが次々に訪れ、自分の好みの豆やどんぐりを選んだり、ポスターカラーを使って色付けをしたり、取り組む姿は真剣そのもの。皆さん、出来上がった作品を満足そうに持ち帰っていました。「ワークショップは人気があり、すぐに定員がいっぱいになるので、今年は朝一番に来てみました」「簡単に取り組める内容で、小さな子どもも楽しめていいですね」など毎年訪れる常連さんも多く、大盛況でした。

熱気にあふれた地方創生セミナー シェアオフィスに注目

2018年、町では「上士幌町応援人口創出プロジェクト」を実施。これは、ふるさと納税への寄附をきっかけに上士幌町を「第二のふるさと」と捉え、定住には至らなくても、継続的に多様な形で町に関わってもらい、上士幌町を応援する「関係人口」となって活躍してくれることを期待する取り組みです。

2020年には町内に「かみしほろシェアオフィス」が開設され、今後の利用方法が注目されているところです。そこで「地方創生のビジネスチャンスと豊かな生活のワークライフバランス」と題し、上士幌町と関わりのある企業をご招待した地方創生セミナーを開催しました。
総務省地域力創造アドバイザーである株式会社Publicus(プブリクス)代表取締役社長の金澤一行氏の進行で、株式会社リクルートホールディングス・エグゼクティブマネージャー花形照美氏と竹中町長が、上士幌町でビジネスを展開する魅力について語りました。

最初に金澤氏は、上場企業で早期退職を希望する人数が多いこと、兼業副業への魅力が高まっていること、そして東京のスキルを、高級食材や素材にあふれる地方に持ってくれば、ビジネスの可能性が広がること等を踏まえ、「上士幌町でいかに稼ぐか、考えよう」と力説。説得力あふれる話に会場は釘付けとなりました。

また竹中町長は、ふるさと納税の寄附金が累計100億円を突破し、経済波及効果も100億円を超えていると報告。出生率向上と高齢化率低下を実現し、一人当たりの平均所得も伸ばすなど、「奇跡の町」と呼ばれていることを紹介し、「よその人ほど町の良さがわかる」「素材を生かしてくれるはず」と期待を込めていました。5月には道の駅もオープン予定で、外から来る人の力も借りながら、食料自給率2000%、再生可能エネルギー自給率100%の持続可能な町を目指していくことを宣言していました。

花形氏は、今も町では多くの移住者が活躍している印象があるものの、さらにそれを広げるためには、移住者も「何かしてもらえる」ではなく、自分で自立する強い意志が必要であり、地域との関係性を築きながらビジネスを起こすことが重要であると言います。そしてシェアオフィスの運営に大事なのは、人と人、仕事と仕事、町と人などをつなぐコーディネーターだと強調。花形氏自身も一度シェアオフィスを利用したいと語ってくれました。

会場からは、「町にはお試し体験住宅もある。寄附する関わりだけで終わるのではなく、寄附者を『関係人口』と捉えることは移住にもつながるかもしれないので、いい取り組みだと思う」「シェアオフィスに興味がある」などの声が上がりました。

これからも関係人口を増やし、応援してもらえる町に

多くの来場者の熱気にあふれたセミナー終了後、熱心に耳を傾けていた、日建設計総合研究所の吉本憲生さんと三浦梨紗さんに感想を伺いました。

「私たちは、持続可能な建築やまちづくりを目指してコンサルティング業務を提供している会社に在籍し、研究活動に取り組んでいます。今日は、町の担当の方から誘われて来ました」と吉本さん。
セミナーを聞いて、まず驚いたのが「上士幌町で稼ぐ」という表現だったといいます。「観光ではなく、そこに行ってお金を稼ぎましょうという呼びかけが新鮮でした。町レベルでそういう発信ができるのは、まさに地方創生のために走り続けるトップランナーだからこそだと感心しています。持続可能な要素が町にたくさんあり、これからを見据え、さらにステップアップしようという町の意気込みを感じました」。

また三浦さんは、「東京に住んでいると、ほかの町を身近に感じる機会がありません。上士幌町についての知識を得たことで興味が湧き、休日に遊びに行こうかなと思いました」と話します。吉本さんも「シェアオフィスは年間10万円で利用できるのが驚きです。自然豊かな雄大な景色を見て、ひらめきを持ち、インスタグラムなどで発信できればいいですね。コーディネーターも募集するそうなので、自分も考えてみたいです」と今後利用する可能性も示唆していました。

そしてお二人は最後に「口コミで広がる情報は必ずあるので、毎年こうしたイベントやセミナーを続けることは、とても意義があると感じます。町の情報を見聞きしたことをきっかけに、まずはふるさと納税に寄附しようと思いました!」と笑顔で話してくれました。

今回のイベントを通じ、町を盛り上げる頼もしい「関係人口」がさらに増えていってくれるような、そんな手応えを感じた一日でした。ふるさと納税を通じて上士幌町を応援してくださった方々への感謝の気持ちを忘れず、過疎のまちから輝くまちを目指し、上士幌町はこれからも「地方創生」に向けて邁進していきます。

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