みんふる

「ここが旅の目的地」がコンセプト
念願の道の駅がオープン

2020.12.08

上士幌町では、2014年10月「都市と農村の交流」をキーワードに、国土交通省が創設した重点「道の駅」候補として企画・提案を行いました。ふるさと納税を通じて全国的に認知度が高まっていた追い風もあり、2015年1月、北海道開発局長により正式に選ばれます。国の交付金や町の基金等の財源を活用し、2020年6月11日「道の駅かみしほろ」をグランドオープン。これまでの経緯やコンセプト、具体的な内容と魅力について、運営を委託されている「株式会社karch」(以下カーチ)の事業統括部長・中田将雅さんと、道の駅担当の商工観光課主幹・新井英次郎さんに伺いました。

構想は2011年から。目的を持って来てもらえる「道の駅」に

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で5月28日のオープンが遅れ、6月11日にグランドオープンした「道の駅かみしほろ」。「全道で127ヵ所目の道の駅です。オープン4ヵ月で約30万人のご利用をいただきました」と町の商工観光課主幹・新井さんは、念願だった「道の駅」の誕生に手応えを感じています。

もともと2011年から構想があった「道の駅」。建設には膨大な資金が必要なことから、実現までには至りませんでしたが、2015年に国土交通省が創設した重点「道の駅」候補に選ばれ、建設へ向けて動き始めました。運営を担当するのは、町の観光ビジネスを創出する会社として2018年5月に設立された「カーチ」です。2015年10月の台風23号による強風で倒壊し、2019年に再建した「ナイタイテラス」の運営も担っています。
「現在、道の駅はお土産の購入や休憩するだけの場所ではなく、目的を持って来てもらえるような道の駅でなければ立ち寄っていただけません。雄大なナイタイ高原牧場の風景が人気のナイテイテラス、源泉掛け流しの温泉や旧国鉄士幌線が魅力のぬかびら源泉郷地区、そして道の駅。この3拠点のトライアングルを核に、町全体の活性化を目指したいと考えています」とカーチの事業統括部長・中田さん。町観光協会、商工会と連携しながら、町を丸ごと発信する拠点として「道の駅」の魅力づくりが進められました。

広大な敷地には熱気球フィールドやドッグランも

さっそく「道の駅かみしほろ」を訪れます。国道241号沿いにある約2万3,800平方メートルの敷地には、臨時駐車場を含め小型車265台、身障者専用3台、大型車12台のスペースを確保。キャンピングカー専用駐車場、電気自動車用の急速充電器のほか、自由に利用できるドッグラン(冬期休止)も備えました。町観光の目玉の一つ「熱気球」のフィールドもあり、体験搭乗イベントでは2ヵ月間で658名がバルーン搭乗を楽しんだといいます。

建物本体は鉄骨平屋建てで、約1,550平方メートル。エントランスの情報発信ホールにある「ふるさと展示」は、季節ごとに展示内容が変わります。左手奥には24時間使えるトイレを完備。右手に進むと、一面がガラス張りの明るく開放的な休憩スペースが広がります。テーブルとイスがゆったりと配置され、訪れた人が思い思いにくつろげる空間です。そして、その周囲にベーカリーやテイクアウトショップ、ハチミツやミルクジャム等の町の物産・農畜産物を扱う販売コーナーが並び、奥にレストランがあります。
ここの大きな魅力の一つである「食」へのこだわりを見ていきましょう。

町の飲食店と競合しない、厳選された美味を提供

まずはベーカリーからのぞきます。「トカトカ」は町内の別の場所で営業していましたが、「道の駅かみしほろ」に移転。北海道産小麦と自家製酵母を使用。独自に長時間低温熟成させたパン生地が以前から好評でした。小麦の香りが広がる「トカショク」「十勝ナイタイ和牛カレーパン」などは売り切れ必至で、道の駅でも大人気です。さらに、小麦粉・てんさい糖・小豆・卵・ハチミツ等地元の素材を取り入れ、ふんわり・しっとりとした生地でカスタードやあんなどを挟む新スイーツを提案する「THE SANDO」、地元産の十勝ハーブ牛や野菜を使う「UC丼」やサラダなどが手軽にテイクアウトできる「UC STAND(ウーシー スタンド)」があり、休憩スペースでゆっくりいただくのも気持ちよさそうです。

そして一番注目したいのは、道の駅では珍しい予約もできるフルサービスのレストラン「La Table de KAMISHIHORO(ラ ターブル ドゥ カミシホロ)」です。店名は「上士幌の食卓」を意味し、シェフとシニアソムリエによる本格的なコース料理やワインが堪能できます。パスタメインの2,000円コース、肉または魚を選べる3,000円コース、5,000円のフルコースを用意。地元産の素材にこだわり、十勝ナイタイ和牛や十勝ハーブ牛をはじめ、鹿肉やニジマスなども登場するとか。季節に応じてビーツのピンクのスープなど、農家から直接仕入れる野菜を最大限に生かしたオシャレなメニューを提案し、この土地・この場所でしか味わえない美味を心ゆくまで楽しめます。

「当初より、町内の飲食店と競合しないことを目的としており、メニューから備品に至るまで、レベルの高いものを採用し、高級感のあるサービスを提供しています。今年は、『ランチクーポン』の配布も実施。道の駅を訪れたお客様が、町内の飲食店でお得にランチを楽しむ姿も見られました」と新井さん。道の駅と飲食店の役割を分担し、町全体の活性化につなげることができたと振り返ります。もちろん町民向けにも、テーブルマナー教室、出会いを提供する街コンならぬ「道コン」、ワインセミナーなど、上質な食を味わいながら楽しめる企画を次々と考案し、広く親しまれる道の駅を意識しています。

スタッフが一丸となり最高のおもてなしを心掛け 「ワンストップ窓口」で関係人口を増やしたい

スタイリッシュで開放的な外観に加え、数々のサービスをソフト面から支えるのが、道の駅で働くスタッフたちです。通常テナントそれぞれにスタッフを雇うのが一般的ですが、ここでは「ほぼ当法人の社員とパートスタッフが担っています」という中田さん。そのため、スタッフ全員が同じ方向を見て、ホテル並みの接客を実践できることが強み。お客様への気配りを第一に、心地よいおもてなしを心掛けています。

さらに、町と人との関わりを大切にした「ワンストップ窓口」があるのも特徴です。観光案内、レンタサイクルの受付、配送手続きといった「コンシェルジュデスク」としての機能はもちろん、ふるさと納税の寄附金の受付、移住・定住の相談にも応じています。ふるさと納税の返礼品は後日発送することとなりますが、当日すぐに道の駅内で使えるクーポン券との引き換えが好評です。

「ワンストップ窓口をセットにすることで、上士幌町の関係人口を増やし、町全体を盛り上げていければと思っています」と中田さん。観光客も町内の人も「ここに来たい」と思ってくれるような道の駅へ向けて、次はどんなワクワク感を見せてくれるのか、今後ますます期待が高まります。

★道の駅かみしほろ
上士幌町字上士幌東3線227-1
TEL 01564-7-7722
営業時間/4月末から10月上旬 9:00〜18:00
10月中旬から4月中旬 9:00〜17:00
定休日/年末年始(駐車場、トイレ、情報発信ホールは通年24時間利用可能)
https://karch.jp/michinoeki

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